イージーオーダー

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私の考えた最強のジョン・ウィック


 ジョン・ウィック観てきました。

 殺人マシーンの過去を一人の愛する女性のために封印した男が、あることをきっかけに完全復活する、というそのストーリーだけでも「私のための映画かな?私を呼んでるのかな?」ということで情報が出た今年の前半からとても楽しみにしていました。

 予告が出てからはそれはもう期待値が上がりっぱなし。「人の顔面に至近距離で銃をぶっ放す映画に悪い映画はない」という持論が大きくプリントされたタオルを振り回しながら待ちに待っていたわけです。ちょっと待つのが長くて腕が筋肉痛になるくらい。

 そしてやってきた公開日。夜勤明けという最悪のコンディションでしたが、Twitterの盛り上がりに背中を押されて映画館へ直行しました。


 あっ、あーーーー!キアヌ!キアヌが!あーーーー!デフォー!デフォーが!撃つ!銃を!人の顔面に!あーーーー!投げる!巨体を投げる!キアヌ投げる!そして撃つ!撃つ!ナイフで刺す!痛い!痛そう!あーーーー!このホテル凄い!楽しい!デフォー!キアヌ!わんこーーーー!わんわんわん!!!


 以上、映画を見てる間の私の脳内を文章に起こしてお送りしました。

 た、楽しい……とても楽しい……

 キアヌ演じるジョン・ウィックが漂わせる危うさと紙一重な脆さ。そして彼が一度は退いた世界へ再び戻ってきたことで広がる闇社会の波紋。なにより「これが観たかったんだ!」と満足させてくれるアクションシーン。

 ここからネタバレになりますが、細かく私が好きなシーンの話をすると、ジョン・ウィックが地下室のしかもコンクリの中に隠した殺人マシングッズを掘り返すシーン。ここまでの決意で過去の自分を封じ込めたんだと思うと泣けました。他にもディナーの予約をするとやってくる昔なじみの「廃棄物処理会社」のおじいちゃんだとか、親友のスナイパーだとか、闇社会の人間大歓迎のホテルとか。あそこよかったよね、を言葉にすると書いててきりがないほどです。

 でも、もしこうだったらもっと上がったんじゃない?と思う部分があったのも事実です。正しく言うと「もっとこうなら私が上がるのに」ということなので、ここからは私の個人的な趣味につき合ってくれる心の広い方のみお読み下さい。

 それでは「私の考えた最強のジョン・ウィック」始まります。



 「犬と過ごした期間短くね?」

 なんとなくですが、私は勝手に犬はもともと奥さんが連れてきて前々から家にいるもんだと思っていました。ジョンは別に好きでも嫌いでもなかったけど、奥さんが死んでから愛する人を失った者同士、男一人と犬一匹で不器用ながらも世話をして寄り添って過ごしていた。本編通りに後からやってくるのだとしたら、時間を半年くらいふっとっばしていいので、犬が当初より大きくなっているとか、奥さんのお墓に散歩に行くのが日課になっていたとか、そして墓参りの帰りにあのチンピラに絡まれるとか、そっちのがより感情移入できるかなと思いました。

 過ごした時間が短くても、犬を殺すこと自体は人間を殺すよりも五億倍くらい許せないことなのであまり問題にはならないのかもしれませんが、もう少し長く一緒に過ごして犬が奥さんを亡くしてぽっかり空いた透き間を埋めたんだなと思わせてくれたらもっとよかったかなと思いました。


 「デフォーがあっさり殺されすぎじゃね?」

 ジョンの暗殺を依頼された瞬間から、依頼を受けるふりをしてジョンを助けることを考えていたなら、デフォーはもっとそれがバレて自分が殺されることを考えて行動していないとおかしいなと思いました。家の前で囲まれたとき、デフォーがあまりに冷静なのでなにか策があるのかな、家に招き入れたら全員皆殺しにしてからジョンのところへ行くのかな、と思っていたらそうならず、あっさり捕まってあっさり殺されてしまったので、せっかくいいキャラクターだったのにもったいなさを感じました。

 もしくは、デフォーはジョンの親友だけれど、仕事は仕事できっちりする非道な仕事人であったらどうか。ジョンが危ないときに助けていたけど、それはジョンを殺すのは自分でなければいけないと思っていたとか。ジョンを狙う暗殺者たちを綺麗に片づけてからジョンの前に現れて、これで邪魔はいなくなったから決着をつけようじゃないか、とか。それでジョンに殺されるならもっと情緒的になって、闇社会の男同士の友情を感じれたような気もします。


 「ラストの盛り上がりが足りなくね?」

 これが最も物足りないことなのですが、こういった最強の主人公ものに何が不可欠かって、同じくらいの実力を持つ男同士のガチンコバトルですよね。序盤、主人公は圧倒的に強くて危なげないのに、同じくらいの実力の敵が最後に現れて、ダメージを受けながらもギリギリで勝利する、それでこそ盛り上がる。でもジョンは割とよくピンチになる。それはそれでブランクを感じさせてよかった部分もあますが、だとしたら最後には完全復活を見せて欲しかった。

 敵のボスは腕力というよりも悪賢さであそこまで上り詰めたタイプのように見えます。どう見てもジョンの敵でないように見える、だからジョンが負傷しているとはいえ、最後のガチンコバトルでもジョンが負ける気がしないのです。あれだけ闇社会で名前を知られているジョンなら、もっと変に恨みを持たれていて、ジョンが復活したなら俺に殺させろ!という同じくらいの実力の敵が出てきてもいいのかなと思いました。

 映画の中のキャラクターでいうなら、やはりデフォーがジョンと同じくらい魅力のあるキャラクターなので、ラスボスはデフォーであるべきだったのかなと思います。一度退いた闇社会に再びカムバックしたはいいが、親友を自分の手で殺すという代償を負った。これはとても上がる展開じゃないかな、と考えた次第です。



 まあ言いたい放題書きましたが、ジョン・ウィックが楽しい映画であることには変わりはありません。もしこうだったらどうか、と考えることも映画を楽しんだ証拠であると思っていただけたら幸いです。


 それでは最後にみんなで叫びましょう「Yeah,I'm thinking I'back!」